その表現、法律違反かも?クリエイターが知っておきたい景表法の基本

皆さま、はじめまして!今回が初投稿となります。
今回はクリエイターが「攻めのデザイン」を続けるために、絶対に守るべき防具。
そんな景表法の話を、現場目線で分かりやすくお伝えできればと思います。

はじめに

クライアントから「もっと目立たせて!」「日本一って入れられない?」と無茶振りされた経験、ありませんか?
制作に没頭していると、つい「どうすればクリックされるか」ばかりに目が向きがちです。でも、その一振りのレタッチや、一言のキャッチコピーが、実は法律のレッドカードだとしたら大変なことになります。

正直、景表法(景品表示法)って「難しそう」「自分には関係ない」と思われがちです。
でも、もし自分の作った広告が原因で、クライアントに数千万円の賠償責任が発生し、制作チーム全員の信頼が吹き飛ぶとしたら? 「知らなかった」の一言では、到底笑い飛ばせません。

実は、フォントのサイズや色の選び方、動画のテロップの出し方ひとつで、クリエイティブの安全性は大きく変わります。今回はそんな景表法について、制作現場の実務レベルでポイントを整理していきましょう。

1. 景表法(景品表示法)とは?

景表法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)を一言で言うと、「消費者が嘘や大げさな表示に騙されず、良いものを正しく選べるようにするための法律」です。

クリエイターに関わりが深いのは、主に「不当表示の禁止」というルール。たとえ作り手に悪意がなくても、結果としてユーザーが「実際よりも著しく良い」と誤認してしまえば、法律違反の対象となる可能性があります。

2. クリエイターが知っておくべき「3つの不当表示」

景表法の中でも、特にデザイン表現に直結するのが以下の3つです。

① 優良誤認(内容を良く見せすぎる)

実際よりも質や規格が著しく良いと誤認させる表示です。

  • 根拠がないのに「国内最高峰の技術」と大きく記載する。
  • 「このシミ、レタッチで消しちゃって」というクライアントの軽い一言。ビフォーアフターで「加工の限界」を超えてしまうと、それはデザインではなく「虚偽」とみなされます。

② 有利誤認(安さ・お得さを誤解させる)

実際よりも著しく安い、または有利だと誤解させる表示です。

  • 注釈(※)を読めないほど小さくし、誰でも割引対象になるように見せる。
  • 実際にはずっとその価格なのに「今だけ半額」と謳う(二重価格表示)。

③ ステマ規制(広告であることを隠す)

広告であることを隠し、第三者の純粋な感想のように見せることです。

  • 広告タグ(PR等)を背景色と同化させて見えにくくする。

さらに注意!「特定の業種や表現のルール」

上記の3つ以外にも、特定の業種や商材には「公正競争規約」や「指定告示」といった個別ルールが存在します。

  • 清涼飲料水:
    果汁5%未満ならパッケージに果実の断面(スライス)やしずくの写真を使ってはいけない等の制限があります。
  • 不動産:
    実際には契約できない「おとり広告」が禁止されています。
  • 原産国:
    国産と誤認させるような紛らわしい表示(国旗の使用など)が禁止されています。

3. もし違反してしまったら?「違反の代償」

「意図的ではなかった」は通用しません。違反が認められた場合、厳しい社会的・経済的責任が待っています。

① 行政処分(措置命令と課徴金)

消費者庁から「その表示をやめなさい」「再発防止策を講じなさい」という措置命令が下されます。さらに、違反期間中の対象商品の売上額に対し、3%の課徴金を命じられるリスクもあります。

② ブランドイメージの失墜

不当表示として公表されると、「あの会社は嘘の広告を出している」というレッテルが貼られます。一度失った信頼の回復は、デザインを作り直すよりもはるかに困難です。

③ 制作側(クリエイター)への影響

クライアントワークの場合、不当表示で損害が発生すれば、制作会社やクリエイター個人の責任問題に発展する可能性もゼロではありません。

4.【深掘り】クリエイターが陥りやすい「NG表現」の具体例

ここからは、現場で「あ、これやってたかも」となりやすいNG例を挙げていきます。

① 「打消し表示」の視認性不足

メリットを大きく見せる一方で、注意書きを目立たなくする手法です。

やりがちなNG:

  • 豪華な特典の横に、背景と同化した色で「※諸条件あり」と記載する。
  • 動画広告で、一瞬(0.5秒など)だけ小さなテロップで注釈を流す。

リスク:
認識できない注釈は「ないもの」とみなされます。

② 根拠のない「No.1」や「日本初」

やりがちなNG:

  • 数年前の古いデータを、現在の結果のように表示する。
  • 調査対象が数名なのに「満足度No.1」と謳う。
  • 出典を記載せず、アイコンだけ配置する。

リスク:
「客観的な調査」「直近のデータ」「適切な出典明記」——この3拍子が揃っていなければ、不当表示とみなされる可能性が高いです。

③ 過度な「レタッチ・画像加工」

やりがちなNG:

  • 美容商材で、レタッチによりシワを完全に消去し、商品だけの効果として見せる。
  • 食品のボリュームを、実際には不可能な盛り付けで著しく多く見せる。

リスク:
「写真はイメージです」と書けばセーフ、なんてことはありません。実物とかけ離れた加工は、消費者の選択を妨げると判断されます。

④ 「二重価格」の不適切な表示

やりがちなNG:

  • 10,000円で販売した実績がないのに「通常10,000円が今なら5,000円!」と表記する。
  • セール終了後も「限定価格」のまま販売を続ける。

リスク:
元値を吊り上げて安く見せる行為は、特に厳しくチェックされます。

⑤ SNSにおける「PR表記」の隠匿

やりがちなNG:

  • 大量のハッシュタグの中に「#PR」を紛れ込ませる。
  • ストーリーズ等で文字を端に寄せたり、背景に溶け込ませて隠す。

リスク:
広告であることを誰が見ても分かるように明示する責任があります。

5. 景表法を味方につける「クリエイターの新基準」

最後に、景表法を「制約」ではなく「武器」にするための3つの習慣です。

① 「読める」をデザインの絶対条件にする

注釈(※)は、「情報の透明性を担保するパーツ」です。

  • 視認性の確保:
    コントラストを保ち、スマホでも読めるサイズ(目安8pt以上)を死守しましょう。
  • 配置の工夫:
    ユーザーが「騙された」と感じないレイアウトを設計します。

② 「強い言葉」には必ず「根拠」をセットする

「No.1」といった言葉を使う際は、それ単体で配置せず、出典情報をセットでデザインします。

  • テンプレート化:
    調査機関・期間・方法をまとめた「エビデンス・ユニット」を作っておくと、デザイン性を損なわずに適法性を保てます。

③ クリエイターとしての「提案力」を磨く

無理な「盛り」を要求されたら、知識を武器に逆提案しましょう。

  • リスクの共有:
    「この表現には売上の3%の課徴金リスクがあります」と伝える。
  • 代案の提示:
    「事実を誇張する代わりに、実証データを可視化して信頼度を高めませんか?」と解決策を示す。

まとめ

景表法を学ぶことは、表現の幅を狭めることじゃない——むしろ広げることです。
「どこまでがセーフで、どこからがアウトか」、その境界線を知っているからこそ、攻めたデザインができるようになります。

万が一のときに「この表現はリスクがあります。代わりにこう見せませんか?」と代案を出せるクリエイターは、クライアントからも間違いなく手放せない存在になります。

「盛って売る」時代から「誠実に伝えて選ばれる」時代へ。
まずは今日の制作物の「※(注釈)」のサイズ、もう1段階大きくしてみることから始めてみませんか?

  • 注釈は「読める」サイズと色に。
  • 強い言葉には「根拠」をセットにしましょう。
  • 「盛る」よりも「魅力を正しく引き出す」ことを意識しましょう。

「正しさ」と「魅力」を両立させたクリエイティブで、より良い情報をユーザーに届けていきましょう!

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K.N

AIの活用も段取りのひとつ。考えて、整えて、動くタイプです。

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