「作りたい映像」にもっと近づくために

宮崎hinataオフィスで映像クリエイターをしているみやっぴーです。モーショングラフィックスやインフォグラフィックス動画を中心に、After EffectsやPremiere Proを使って日々制作しています。

今回は「作りたい映像とのギャップをどう埋めるか」というテーマで話していきます。

正直に言います。引き出しが少なかった。

映像クリエイターとして働いていると、「こういう映像を作りたい」というイメージは割と明確に持てるんです。でも、いざ手を動かそうとすると……自分なりにアレンジする方法がわからない。

頭の中にある映像と、実際に作れる映像の間に、大きな溝がありました。

クオリティも上げたい、でも時間もない。

この記事では、この悩みに向き合うために実践してきたことを、具体的な作品とセットで話していきます。

作品① ConoHa VPS 広告動画

BtoB動画広告です。

1本だけ作って「本当にこれでいいのか」とならないよう、まずAIにコンセプト案を複数出してもらいました。そこから3つの切り口に絞って制作しています。

  • Case A:機能訴求オーソドックス型——3つの訴求ポイントをまとめてわかりやすく伝えるスタンダードな構成
  • Case B:課題提起先行型——冒頭で不安を煽り、「うちのサービスで解決できます」と導く構成
  • Case C:Androidキャラクター活用型——AIから生まれた、自分では思いつかなかった斬新なアプローチ

AとBはよく見るタイプの広告構成です。でも「本当に刺さる」となると、やはり斬新さが求められる。そこでAIにアイデアを出してもらったところ、Androidキャラクターを使った全く新しい切り口が生まれました。

Case Cは自分では絶対出てこなかった発想でした。

▼ Case C 絵コンテ(一部)

最終的に依頼者が採用したのはCase A。一番シンプルな機能訴求型です。個人的にはCase Cをやってみたい気持ちもありましたが、気持ちを切り替えてCase Aをとことん作り込むことにしました。

▼ 完成動画

ここで課題になったのが演出です。自分で作ると、どうしてもポップな雰囲気が出てしまう。でも今回はBtoB法人向け。ポップさではなくスマートさが求められる。

そこで過去に効果が高かった動画を何度も見て、その演出を自分なりに咀嚼しながら手癖を修正していきました。

▼ 参考にした過去動画

参考リサーチをただ「見る」だけでなく、自分の制作に直接落とし込む作業です。結果、配信広告の中で特に高い成果を獲得できました。

作品② 柏崎ガレージ YouTube チャンネル

サムネイル・スタジオセットイメージのビジュアル設計です。

依頼時にもらった要件はこの3つでした。

  • ターゲット:40代非エンジニア男性が気後れしないデザイン
  • 用途:非エンジニア向けAI活用YouTubeチャンネル
  • コンセプト:「AIで何かを作る」ガレージ・秘密基地感

要件は明確だったものの、それをどうビジュアルに落とし込むかは自分次第。映像制作ではなくグラフィック設計の仕事で、正直引き出しが足りなかった。

そこでAIにデザインコンセプト案を複数出してもらいました。いくつも案を見ていくうちに、自分の中のイメージが具体的に固まっていきました。

▼ AIが出したコンセプト案

あとは参考番組・チャンネルのビジュアルをリサーチして世界観を言語化し、実際のデザインに落とし込んでいきました。

▼ 完成した動画

依頼者や出演者から「クオリティが高い」と言ってもらえました。

2つの作品に共通していたこと

振り返ると、2つの作品に共通していたのが参考リサーチを徹底したことでした。

ただ「参考にする」といっても、ただ見るだけでは引き出しにはなりません。自分がやっているのはこんな流れです。

  • 気に入った表現を自分で再現してみる
    完全に同じものを作ろうとすることで、その表現の構造が初めて見えてきます。
  • 他の映像の表現と組み合わせてみる
    ひとつの参考だけに引っ張られると、結果的に「似たもの」になってしまいます。複数の参考を混ぜることで、少しずつ自分のものにできます。
  • 自分がこれまでやってきた表現も足す
    そうして初めて「真似」ではなく「昇華」になります。オリジナルとして昇華できた、という実感が持てるようになります。

この積み重ねが引き出しを増やし、それが今回の作品にも直接活きました。

AIについての反省

AIは本当に便利で、案出し・コンセプト設計など「面倒な部分」を任せることで制作スピードとアイデアの幅が一気に広がりました。

ただ正直に言うと、AIに任せすぎた時期がありました。

AIの案が良すぎて、つい丸ごと使いたくなるんですよね。

でも冷静に考えると、AI案をそのまま使った映像は今や世の中に溢れています。差別化にはなりません。

自分が目指したいのは、オリジナリティのある映像です。それに近づくためには、AIのアイデアも参考リサーチと同じように「組み合わせる」ことが大切だと気づきました。他のアイデアと混ぜる、自分のアイデアと組み合わせる。そうすることで、自分が伝えたいことを映像にできます。AIは使う。でも主導権は自分が持つ。それが今の自分のスタンスです。

今やっていること

① 20分クリエイティブ

チームのデザイナーメンバーがお題を決めて、20分でバナーを1つ作る取り組みです。20分後にみんながスレッドに投稿して、お題を出した人が評価します。時間が限られているからこそ、あえてAIに頼らず自分の頭だけで考える。じっくり考える癖をつけることで、制作スピード自体も上げていける。そういう場として活用しています。

詳しくはこちら→みんなでチャレンジ!20分クリエイティブ

急ぎながらも自分で考える。この繰り返しが一番の訓練になっています。

② 日常的な映像収集と再現

気になった映像表現を日常的に集めて、気に入ったものを実際に再現してみます。自分がよく見るのは、漫画のページやキャラクターを動かしている映像や、バーチャルYouTuberの歌ってみた動画など。最近はこういったコンテンツのクオリティが急速に上がっていて、演出の参考になるものがたくさんあります。制作に直接関係なくても、引き出しのために続けています。

③ 体系的なデザイン学習

チームの美大出身メンバーがどうやってデザインを学んできたかを教えてもらいました。これまで仕事の実践の中でデザインを身につけてきたけれど、改めて座学として学び直すことで知識を体系化し、自分の底上げを図っています。

まとめ

  • 参考映像を徹底的に見て、自分なりに昇華する
  • AIに面倒を任せて、表現の幅を広げる
  • AI任せにならないよう、自分の感覚を鍛え続ける

「作りたい映像」に近づくために、参考リサーチ・AI・自分の感覚、全部使う。どれかひとつじゃなくて、全部組み合わせるのが大事だと感じています。

映像制作をしている方や、同じような悩みを抱えているクリエイターの方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

みやっぴー

みやっぴー

31歳男性映像クリエイター。26年11月にグループ内広告代理店から転入。

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